止まった日から寝たきりの状態が続き、しばらくして
私は思いがけない形で “次の気づき” を迎えることになりました。
それは、予兆もなく訪れた痛みでした。
この痛みは、ただの身体の不調ではなく、
私の心の奥に眠っていたものを静かに浮かび上がらせ、
本来の道へ戻すための大きな転換点になりました。
ここからは、
痛みが私を目覚めさせた日の物語を綴っていきます。
✦ 予兆のない崩壊
突然、激しい咳と痛みが私を襲いました。
咳の衝撃で肋骨にヒビが入り、
呼吸するだけで涙が出るほどの痛みでした。
まるで誰かに
「もうその道は違いますよ」
と静かに止められたような感覚でした。
私は約1か月半、寝室のベッドで暮らすことになったのです。
✦ 見えない力に降参するしかなかった日々
家族に支えられながら病院や整体に行っても、
どこにも異常は見つかりませんでした。
痛みは理由を教えてくれないまま、
ただ私をベッドに縫い付けました。
内観する余裕もなく、
ただ波のように押し寄せる
激しい痛みに耐えるだけの日々でした。
✦ 暴走していた私が見落としていたもの
仕事に夢中だった頃、
「もっと仕事に専念したい」と家を出たいほど、
私は暴走していました。
けれど、家事も食事も家族に任せるしかない状況になって初めて、
私は気づきました。
愛は、ずっとそこにあったのだと。
満たされていたのに、
見えていなかっただけだったのだと。
その気づきが、
少しずつ私の足を前へ進ませてくれました。
✦ 息子の一言が、痛みを連れていった
年が明けて、息子が服をプレゼントしてくれると言ってくれました。
足を引きずりながらの遠出でしたが、
その時間は涙が出るほど幸せでした。
帰りの電車で最寄り駅に着いたとき、
ホームへ一歩踏み出そうとした私に、
息子がふと告げました。
「もう足は治ってるよ。
引きずらずに踏み出してみたら?」
その瞬間、
あれほど苦しめられた痛みがふっと軽くなり、
まるで風に乗って消えていったように、
私は普通に歩けるようになりました。
嬉しくて、涙が止まりませんでした。
✦ あれは“内なる変容”だったのかもしれない
今振り返ると、
あの数か月は内なる変容だったのかもしれません。
止まらなかった私を、
静けさの世界へ連れ戻すための
“魂の強制リセット”。
痛みは、私を目覚めさせるための
大きな転換点だったのだと思います。
✦ 心の避難所だった場所が、もう避難所ではなくなった
会社勤めの頃から大好きだった場所があります。
滋賀県・比叡山山頂のガーデンミュージアム比叡。
心地よい風、季節の花畑、
眼下に広がる琵琶湖──
私の心の避難所でした。
けれど、あの強制終了以降、
人混みや大きな声がつらく感じるようになりました。
どれほど美しい場所でも、
“静けさ”がないと心が休まらない体になっていたのです。
✦ 自分の庭に、心の聖域をつくろう
そのとき、ふと閃きました。
「自分の庭に、あの美しい世界をつくればいい。
毎日、静けさに包まれて生きられる。」
その瞬間から、
私の人生は大きく方向を変え始めました。
宿根草とバラの庭づくり──
魂に導かれるように始めたその選択が、
私を本来の姿へ戻していく旅の始まりでした。
――――――――――――
痛みが私を静けさへと導いたあと、
私は心の奥で
「静けさの居場所をつくりたい」と思うようになりました。
その居場所として選んだ 庭は、
チガヤに覆われ、荒れ果てていました。
次の章では、
この庭を再び息づかせるための
最初の試練の物語を紡ぎます。